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しゃぶしゃぶの食べ方|どれだけ出汁をきれいに保てるかがポイント!
昔から日本人が大好きなご馳走のひとつ、「しゃぶしゃぶ」。牛肉を鍋の中でしゃぶしゃぶ……という大まかなイメージはつくけれど、いざ専門店に行くと、どんな手順や作法で食べ進めるのか意外と知らない人も多いのでは?
そんな不安を解消すべく、「しゃぶしゃぶと日本料理の木曽路」に行ってお店でのしゃぶしゃぶの食べ方を聞いてきました!
どんなタレと薬味があるの?
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「しゃぶしゃぶ」とは、温かい出汁にくぐらせて火を通した牛肉をさまざまな味で楽しむ料理。諸説ありますが、日本には戦後間もない昭和20年代はじめに伝わったとされています。そんなしゃぶしゃぶに、皆さんは何をつけて食べますか?
さまざまな食べ方があると思いますが、定番はごまだれとポン酢です。「木曽路」でもこの2種類が卓上に並びます。
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ほかにも薬味として、さらし葱や紅葉おろし、ニラ、ニンニクがよく一緒に食べられます。木曽路では、食べるラー油も用意されています。
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ニラとニンニクは木曽路「秘伝のごまだれ」に、さらし葱と紅葉おろしはポン酢に合わせるのがおすすめです。食べるラー油はどちらとも相性がいいですが、私はごまだれに入れるのが好きでした。濃厚なごまだれに食べるラー油の香りと食感が合わさって絶品です。
まずは肉1枚を堪能する
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しゃぶしゃぶを注文すると、まずは出汁が入った鍋が運ばれてきます。この出汁がしゃぶしゃぶのうま味をつくりだす名脇役。透き通った鍋出汁をできるだけキープしながら食べ進めるのが鉄則です。
今回取材した木曽路では、昆布出汁にゆずの皮で香り付けをした状態で供され、肉を入れる直前に店員さんがゆずの皮を取り除いてくれます。
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出汁が沸騰したら準備が整った合図。まずは牛肉1枚を存分に味わいましょう。菜箸で牛肉の端を持ったら、もう片方の端から鍋に寝かせるように入れていきます。
木曽路では、最初の1枚を店員さんがしゃぶしゃぶしてくれるので、やり方をよく見ておくといいですよ!
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牛肉を出汁に広げたら、菜箸で真ん中部分を持ちます。そしてそのまま8の字を描くようにしゃぶしゃぶします。ポイントは鍋の深さを使って菜箸を動かすこと。少しだけゆっくり、3回ほどくぐらせます。
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牛肉はほんのりピンクがかった状態がベスト。あまり火を入れすぎると、牛肉がパサつき、うま味が逃げて出汁が濁ってしまうのだとか。また沸騰していない状態の鍋でしゃぶしゃぶしても同様に濁ってしまうので注意が必要です。牛肉はごまだれにつけて食べてみると、とてもやわらかく、甘みをしっかり感じました。
ちなみに、菜箸と食べるときに使う箸は別々なので、牛肉をよそったら、自分の箸に持ち替えていただきましょう。
灰汁取りのやり方
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鍋料理の大敵でもある灰汁。出汁が味の決め手でもあるしゃぶしゃぶは、こまめな灰汁の処理がとても大切です。灰汁を取りたいと思ったら、まずは鍋の温度を高温にします。そうすることで出汁が沸騰し、灰汁が表面に浮かんできます。
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灰汁が浮かんできたら、鍋の温度をもとに戻し、レードルを使ってすくいます。レードルは外側に向けて、鍋の縁を利用しながら灰汁を集めてすくうのがコツです。取れた灰汁は、灰汁壺に移しましょう。
このとき温度が高温のままだと、出汁が沸いて灰汁が動いてしまい、取りづらくなるので注意です。灰汁は逐一出てくるので、こまめに取り除いてください。
野菜も一緒に味わう
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牛肉の味を堪能したら、そのうま味がしみ出た出汁で、今度は野菜を煮ていきます。野菜はうま味の出るもの、煮えにくいものから先に入れると、出汁の味に深みが増すのでおすすめです。シイタケ、ニンジン、白菜などがそれにあたります。
出汁を濁らせないためにも、一度によそえる分だけ調理するのがポイント。焦らず欲張りすぎないようにしましょう!
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しゃぶしゃぶでよく一緒に出てくる春雨。火を入れると10秒ほどで無色透明になってしまうので、鍋に入れるときは菜箸から離さず、煮えたらすぐによそってください。ポン酢がおすすめです。
ワカメもサッと出汁にくぐらせる程度で大丈夫。花が咲いたようにフワッと広がり、色が鮮やかな緑に変わる瞬間は見物ですよ。
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水耕葱は出汁の表面に浮かべながら煮てください。箸で持ち上げたときにクタッと水耕葱が折り曲がるようになれば食べ頃です。水菜はすぐに火が通るので、食べる直前に鍋に入れてよそいましょう。
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野菜と一緒に牛肉をしゃぶしゃぶすることも忘れずに。お腹いっぱいになってきた後半は、さっぱりとしたポン酢が合いますね。薬味のバリエーションも豊富なので、自分のペースで食べ進めましょう。
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灰汁取りは随時行いましょう。牛肉を何枚かしゃぶしゃぶすると、出汁が濁りやすいです。先述したように、一度によそう分だけ野菜を煮て、よそった後の鍋で灰汁取りをするとやりやすいですよ。
出汁を使った〆料理
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しゃぶしゃぶの〆料理というとさまざまありますが、木曽路は肉と野菜から出たおいしい出汁で、きしめんと餅をいただきます。この〆が待っているからこそ、灰汁取りが大切なんですね。
野菜などが残っていたら、できる限り取り除いてください。写真のようにきれいな出汁になっているのがベストです。
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きしめんと餅が煮えるのを待っている間、木曽路ではスープをつくります。あらかじめ塩が入ったカップにお好みで胡椒を入れたら、レードルを使って出汁を注ぎます。5杯ほど注いだらやさしくかき混ぜてください。
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きしめんは麺の端が透き通ってきたら食べ頃です。鍋の縁から滑らせるようにカップによそうと、出汁がはねるのを防げます。餅は、菜箸で持ったときにへの字に曲がれば食べられます。長時間煮ると、やわらかくなりすぎてつかみづらいので注意です。
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きしめんと餅をよそったら、お好みでさらし葱をのせて完成です。肉と野菜のうま味が楽しめるスープは、じんわりと身体にしみていきます。
木曽路では最初の牛肉1枚と同様に、最後の〆料理も店員さんが調理してくれます。〆は店ごとにさまざまなスタイルがあるので、その店に合った料理を楽しんでください。
灰汁を取り除いて、出汁をきれいに保つことが大事なしゃぶしゃぶ。このことを意識して、最後の〆まで風味豊かにいただきましょう。
※掲載情報は、2022年8月時点のものです。価格等は変更になる可能性があります。
全国各地から吟味された牛肉と、四季折々の野菜を組み合わせた「しゃぶしゃぶ」を味わえる。ピーナッツやくるみを独自にブレンドした「秘伝のごまだれ」は、驚くほど濃厚な味。本州から九州にかけて店舗を展開し、今回の撮影協力は東京の「木曽路 新橋店」。