抹茶の楽しみ方|京都・福寿園に教わる茶室の作法
日本に抹茶が広まったのは鎌倉時代。「茶を楽しむ」という文化は何百年と日本人の生活に息づいてきました。今回は、抹茶との向き合い方を「福寿園 京都本店」で教えていただき、実際に茶室体験をしてきました。
茶道を楽しむ心得
茶道では、「用意された空間をすべて楽しむこと」が大切です。
ただ抹茶を楽しむのではなく、その日のためだけに用意された季節の花や掛け軸が飾られた茶室を目で楽しみ、今日という特別な日に感謝します。亭主と客が互いを思いやり、茶室の雰囲気を清浄に保つことを意味する「和敬清寂(わけいせいじゃく)」という言葉も重要。このお互いを思う気持ちがつながったときに、心から茶道を楽しいと感じることができるそうです。
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蹲踞で手を清めてから茶室へ
まず茶室に入る前に、外にある蹲踞(つくばい)で手と口を清めます。
水を汲んだ柄杓(ひしゃく)の柄の真ん中あたりを右手で持ち、左手→右手と片手ずつ水で流した後、口を清めます。最後は、柄杓を立てるように両手で持ち、残った水で柄部分を清めましょう。
躙口(にじりぐち)をくぐり茶室へ入る際は、両手の親指と軽く握ったほか4本の指で体を支えるようにして、畳に膝をついてから入ります。
茶室に入ったら、床の間を拝見し、自席に座ります。座る際は、畳の縁から16目数えたところに膝頭がくるように座ります。正座をするときは、指をきれいに揃え、左手の上にそっと右手を置きましょう。
最初、茶会の亭主が客に抹茶を点ててくれるので、作法や所作を確認し、一服しましょう。
▼▼お部屋に畳のスペースを▼▼
和菓子を先にいただく
用意された和菓子は、抹茶を飲む前に食べきります。先に和菓子を食べることで口の中に甘みが残り、より抹茶の苦味や深みを感じることができるそうです。今回いただいたのは、季節の花「桃」をかたどった練切(ねりきり)。
和菓子は、楊枝で口に入る大きさに切っていただきましょう。
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茶碗の持ち方
茶碗を持つときは、指を揃えた左手のひらの上に茶碗を置き、右手の指で支えます。
手のひらに乗せたまま、右手を使って茶碗の柄を避けるために時計回りに回します。抹茶は数回に分けていただきましょう。
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飲み終えた後は
抹茶をすべて飲み終えたら、最後のひと口は短くスッと音を立てて吸いきります。これが「飲み終わりました」というサインです。飲み口を指で清め、茶碗の柄が自分側に向くように反時計回りに回し、畳の縁外に茶碗を置きます。
最後は、両手を膝の前につき茶碗を拝見します。
▼▼福寿園の抹茶▼▼
抹茶の点て方
それでは、実際に自分で抹茶を点ててみましょう。
道具はお盆の手前から時計回りに茶碗、棗(なつめ)、茶筅(ちゃせん)、茶杓(ちゃしゃく)。
茶杓を取り、棗の蓋を開けて抹茶を2杓すくいます。抹茶を茶碗に入れるときは静かに入れましょう。
柄杓で釜のお湯をとり、茶碗の約3分の1まで入れます。
抹茶を点てるときは、茶筅は垂直に立てるように持ち、左手でしっかりと茶碗を押さえます。そして、シャカシャカと音を立てるように茶筅を大きく前後に振ります。このとき、茶筅の先が茶碗の底に付いてしまうとしっかり抹茶とお湯が混ざらず、きれいな泡ができません。できるだけ手首以外の力は抜き、前後50回ほど振りましょう。
きめ細かな泡をつくることができたら、まろやかな口当たりの抹茶がいただけるでしょう。
抹茶を点てているときは、茶碗の中だけに集中しているため、仕事や家事など普段の日常生活のことから僅かな時間だけでも離れることができます。加えて、抹茶にはリラックス効果があるので、みなさんも毎日のコーヒーの代わりにお家で抹茶を点てて、自分だけの癒やし時間を持ってみてはいかがですか?
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※掲載情報は、2023年2月時点のものです。価格等は変更になる可能性があります。
福寿園は寛政2年(1790年)の現京都府木津川市山城町にて、福井伊右衛門により茶商として誕生。現在ではお茶だけでなく、抹茶のお菓子や茶器など幅広い商品を販売。京都本店では、茶室体験や自分好みのお茶づくり体験、お茶を使ったフランス料理など、フロアによってさまざまなお茶体験を楽しむことができる。