松茸の前にお猪口で出汁を堪能するのが作法! 土瓶蒸しの食べ方

土瓶蒸しの食べ方|松茸は食べてOK? 蓋はどうする?

日本の伝統食器である土瓶を使った「土瓶蒸し」。松茸やハモなどの具材を使った秋の定番料理です。日常的に食べる料理ではないので、会食や接待の席で突然出てきたら戸惑ってしまいますよね。今回は、ホテルニューオータニ東京にお店を構える「紀尾井 なだ万」に、香りも具材もたっぷりと味わえる食べ方を教わってきました。

【取材協力】紀尾井 なだ万

土瓶蒸しとは

土瓶蒸しとは

土瓶蒸しとは、急須の形をした土瓶を使ってつくる蒸し料理のこと。昔農夫が山で採れた食材を食べようとしたところ、鍋がなく、代わりに土瓶を使ったのが始まりと一説で言われています。中に入れる具材はさまざまですが、その中でも松茸を入れたものが代表的です。香りを閉じ込めるように蓋が閉められた状態で出されるので、初めて目にする人はとりあえず蓋を開けてしまいがちですが、それではせっかくの松茸の香りが逃げてしまいます。土瓶蒸しを食べることができる貴重な機会を無駄にしないためにも、正しい食べ方を知っておきましょう。

お猪口に出汁を注ぐ

お猪口に出汁を注ぐ

土瓶蒸しが運ばれてきたら、いきなり土瓶の蓋を開けて、主役の松茸を食べてはいけません! まずはお猪口に出汁を注ぐのが正解です。

お猪口に鼻先を近づけて、芳醇な松茸の香りを堪能しましょう。

お猪口に鼻先を近づけて、芳醇な松茸の香りを堪能します。そして、香りを楽しんだ後、口をつけて出汁をいただきます。音を立ててすすらないように気をつけましょう。

蓋を開ける

お猪口で出汁を2〜3杯味わったら、土瓶の蓋を開けて香りを改めて味わいます。湯気と一緒に松茸の風味がふんわりと漂ってくるはずです。

お猪口で出汁を23杯味わったら、土瓶の蓋を開けて香りを改めて味わいます。湯気と一緒に松茸の風味がふんわりと漂ってくるはずです。

その際、丁寧に配置された具材を目で楽しむのも忘れずに。蓋を脇に置く際、傷をつけないように丁寧に扱いましょう。

その際、丁寧に配置された具材を目で楽しむのも忘れずに。蓋を脇に置く際、傷をつけないように丁寧に扱いましょう。

スダチを搾る

出汁本来の味を楽しんだら、アクセントに土瓶の中にスダチを搾ります。

出汁本来の味を楽しんだら、アクセントに土瓶の中にスダチを搾ります。その際、レモンなどと同様、手を添えて搾るのがマナーです。スダチはお猪口に搾るのが作法という流儀もあるようですが、「紀尾井 なだ万」さんではこのスタイル。

具材を食べる

最後に具材をいただきます。食べる順番としては、はじめはやはり主役の松茸から。

最後に具材をいただきます。食べる順番としては、はじめはやはり主役の松茸から。そのあとは、味の薄いハモあたりからいただくのが好ましいようです。

汁が垂れそうな場合は、お猪口を小皿にして使っても大丈夫です。

汁が垂れそうな場合は、お猪口を小皿にして使っても大丈夫です。出汁が残っていたら、お猪口に注いで最後まで堪能しましょう。

具材を残らず食べ終わったら、土瓶の蓋をもとの状態に戻しましょう。

具材を残らず食べ終えたら、土瓶の蓋をもとの状態に戻しましょう。

具材を味わう前に、まずは出汁を味わう。このことを覚えていたら、取引先や上司から急に会席料理の席に呼ばれても安心ですね。秋の味覚の王様、松茸の風味を存分に味わえる土瓶蒸しを堪能してください。

※掲載情報は、2022年8月時点のものです。価格等は変更になる可能性があります。

【取材協力】紀尾井 なだ万

「老舗はいつも新しい」のもと、時代に合った進化を続ける1830年創業の老舗日本料理店。今では、お惣菜やお弁当の販売・配達、オンラインストアでの販売も行っている。 撮影協力は、ホテルニューオータニ東京内の「紀尾井 なだ万」。

text: MUTO Miki

photo: ISHIGAKI Seiji

tags:

share:

twitter
facebook
line
食べ方TOP 和食 土瓶蒸しの食べ方|松茸は食べてOK? 蓋はどうする?