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上海蟹の食べ方|秋が旬! 中国の高級蟹をたっぷりと堪能
中国の秋の味覚「上海蟹」。高級食材であり、日本ではあまり馴染みがないため、食べたことがないという人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、老舗中国料理店「新世界菜館」に、上海蟹の解体方法からおいしい食べ方までを教えてもらいました。
上海蟹とは
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上海蟹とは日本のモクズガニのこと。名前に“上海”とついていますが、水がきれいな内陸の地で育てるため、多くのものは上海から離れた、江蘇省の郊外に点在している水質のいい湖で養殖されているのだとか。その中でも陽澄湖は有名な養殖場のひとつです。
食べ頃は秋!
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日本では10月〜12月に上海蟹の提供を開始するお店がほとんど。
冷凍すると味や質が落ちてしまうため、出荷したものはすぐに調理されます。そのため、中国から生きた状態のまま空輸され、空港から飲食店まで直送されるそうです。
上海蟹は日本で特定外来生物に指定されているため、生きた状態のものは基本的に飲食店以外で取り扱うことを禁止されています。新鮮な上海蟹を食べるには、中華料理店へ足を運びましょう。
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オスとメスを比べる
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今回は上海料理の老舗「新世界菜館」で、雄雌食べ比べメニューをいただきました。
雄雌を見分けるときはお腹を見ましょう。三角形になっているのがオスで、平行に横線が入っているのがメスです。また、中を開けるとメスは卵を持ち、オスにはミソが多く詰まっています。11月を過ぎるとオスには脂肪がついてきますが、反対にメスは卵を持つため、身が痩せてきてしまいます。お店では早い時期にメスを、11月半ばを過ぎた遅い時期にオスを食べることをおすすめしています。
ヒモを切る
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オーダーすると20分ほどで真っ赤に蒸し上がった上海蟹が登場。出てきた瞬間から蟹の蒸し上がったいい匂いが漂ってきます。上海蟹はゆでてしまうとミソが流れてしまうため、蒸すのが基本です。
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まずは、十字に縛っているヒモをカットします。なぜヒモで縛るのかというと、出荷するときに箱の中で周りの上海蟹の脚と絡まって、脚が取れないようにするため。また、動けないようにすることで体力を使わせずに質を保つことができるんだそうです。
メスを解体する
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まず先に、メスを解体していきます。最初に、「ふんどし」と呼ばれるお腹の下部分を取りましょう。このオレンジ色のものが卵です。
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次に甲羅をはがします。イタそう……。
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目はハサミでカットして取り除きます。
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殻以外の部位はすべて食べられると思いきや、食べられない部位がひとつ。胴体の両側にある“ガニ”と呼ばれる肺の部分です。ここには菌が多く付着しているため、必ず取り除きましょう。

最後に、胴体部分の真ん中にハサミを入れて、縦に割ります。
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店長さんの上海蟹解体パフォーマンスはわずか15秒! 蟹の体の構造を知ることができるチャンスなので見逃せません。
オスを解体
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次はオスを解体していきます。メスと同様にヒモをハサミで切るところから始まり、ふんどし、甲羅、ガニの順番に解体していきます。

そして、胴体をパカーンと開けると、鮮やかなオレンジ色のミソがたっぷりと入っています。上海蟹は与えるエサによってミソの色が変わり、新世界菜館で扱う蟹にはトウモロコシを与えているそうです。それでこんなに濃いオレンジ色になるんですね!
まずはミソを食べる
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解体した上海蟹を、カニスプーンを使って食べていきましょう。カニスプーンは一方がスプーンに、もう一方がフォークになっています。カニミソを食べるときはスプーンを、脚の身などを食べるときはフォークを使います。
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まずはカニスプーンのスプーンの方を使って、オスのミソを温かいうちに食べます。ミソをたくさん食べたいという人は、やはりオスをオーダーするといいでしょう。
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甲羅の内側についている白っぽい薄皮も食べることができます。
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周りにミソがついている胃の部分は、指で引っこ抜いてそのまま口に入れてしゃぶりましょう。食べることができないので、ミソを味わったら必ず口から出します。
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半分に割った胴体の部分にもミソがいっぱい詰まっています。カニスプーンで入念にほじくり出しましょう。ここも美味です。
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胴体についているミソは脚を持ってそのまましゃぶりついてもOK!
▼▼実践したい方はこちら!▼▼
胴体の身を食べる
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
脚がついた胴体の部分には、線に沿って壁があるので、まずはその壁をスプーンで崩していきます。
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そうすると、一気に身をいっぱい取ることができます。
スプーンで取った身は、小皿代わりの甲羅に移しましょう。
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蟹の身は、刻みショウガ入りの蟹酢をつけていただきます。スプーンで蟹酢を少量すくい、身にかけましょう。
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蟹は体を冷やしてしまう性質を持つため、体を温めてくれるショウガを酢の中に入れているんだそうです。ショウガの甘みが上海蟹とよく合います。
親指と脚の身を食べる
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オスの親指は、ハサミで真ん中に切れ目を入れます。
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そうすると真ん中からきれいに割れ、中には身がたっぷりと詰まっています。
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ここで脚の身を食べるときの裏技をご紹介!
まず、爪がついた脚先の部分を取ります。
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脚の根元を、ハサミを使って平行四辺形になるように両端をカットします。
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平行四辺形にカットした部分に、最初に取った脚先の部分を入れるとピッタリとフィットして、中の身がきれいに飛び出します。これはみんなに注目される食べ方ですね!
▼▼特大ズワイガニもおすすめ▼▼
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ほかの種類の蟹と比べると小柄な上海蟹ですが、その分小さな体にぎゅっと凝縮された深い味を持ち、これは旬のうちに何度でも食べたくなってしまう味わいでした。みなさんも上海蟹を食べて、いつもとは少し違った秋冬の迎え方をしてみてはいかがですか?
昭和21年創業、神田神保町にお店を構える老舗中華料理店。紹興酒や上海蟹は中国から自社輸入しており、9月〜2月は上海蟹を求めて多くの人が訪れる。蒸した状態の上海蟹はテイクアウトも可能。