日本酒の楽しみ方|日本酒の種類や飲み方、よく合うおつまみを知る

日本酒の楽しみ方|日本酒の種類や飲み方、よく合うおつまみを知る

日本酒はどんな料理にも合う懐の深いお酒です。スパークリングの日本酒から、燗酒にしてもよい純米酒、冷やで味わう吟醸酒など飲み方も味の種類も実にさまざま。自分好みの味や飲み方を探すのも日本酒の楽しみです! ビギナー向けの日本酒の楽しみ方を豊島屋本店で聞きました。

【取材協力】豊島屋本店

日本酒の基本を知る

日本酒の基本を知る

日本酒は甘口・辛口などとよく表現されますが、温度によってもその味わいは変化します。基本は、香りと味わいです。
「香りが華やか」、「香りがおだやか」、「味がすっきり」、「味がふくよか」という4つの指標で、華やかでフルーティーなお酒が好みなのか、味が濃いお酒が好きなのか、すっきりとしたお酒が好みなのかを探って、自分好みの日本酒を探します。

温度によっても味は変化します日本酒の味の変化も楽しみましょう

温度によっても味は変化しますので、燗酒にしてもいい日本酒(濃醇でコクのあるタイプ)を店員さんに聞いて、冷や(常温)と燗(温めた日本酒)の味の変化も楽しみましょう。

日本酒の種類

大吟醸

大吟醸

精米歩合*が50%以下の日本酒。さらにアルコール添加率が0%だと純米大吟醸となります。製造過程による分類のひとつで、味わいを指す用語ではありません。
*精米歩合=玄米に対する白米の割合。精米歩合60%とは、玄米を40%削ること。

純米酒

純米酒

米と米麹だけを原料としたお酒で、こちらも製造過程による分類のひとつ。以前は精米歩合が70%以下という条件がありましたが、現在はありません。

無濾過

無濾過

雑味を取り除き、香味のバランスをよくするための「濾過」を一切していないお酒。昔は蔵元でしか飲めない貴重なものでしたが、近年は比較的入手しやすくなりました。

スパークリング

スパークリング

酒瓶内の微細な発泡によって生まれる日本酒。シャンパンのようなさわやかな口あたり。発泡日本酒とも呼ばれます。炭酸ガスを後から注入する製造法もあります。

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三段仕込

3回に分けて仕込む一般的な手法で製造された日本酒。さらに米を足して仕込むと四段仕込、五段仕込となります。回数を増やすことで甘み、うま味も増えます。

本醸造酒

製造過程による分類のひとつ。全体量に対する醸造アルコール量の割合が10%以下、精米歩合が70%以下のものを指します。淡麗な口あたりのお酒が多いです。

原酒

通常はできあがったお酒に水を加え、アルコール度数を15〜16%に調整するところ、それを行わないのが原酒。度数が高めで、濃厚な味わいが特徴です。

生酛仕込(きもとじこみ)

天然の乳酸菌を取り込みながら、雑菌を駆逐し、純粋酵母を育てる製法。きめが細かく、まったりとした風味。熟成されても安定した味の日本酒になります。

山廃仕込(やまはいじこみ)

生酛仕込の作業から米をすりつぶす工程を廃止した改良法で、手間と技術を要する技法。味・香りともに濃厚になるため、熱燗に向いているお酒が多いです。

貯蔵

製造した日本酒を寝かせて、熟成させること。半年から1年程度が一般的で、それ以上長く貯蔵した日本酒は、まろやかでやわらかい味わいになります。

日本酒の飲み方を知る

冷酒

冷酒

冷蔵庫などで冷やしたお酒のことを「冷酒」といいます。大吟醸や吟醸酒などすっきりとした味わいと華やかな香りの日本酒は、冷酒で飲むと一層さわやかな香りが引き立ちます。ちなみに、「冷や」は通常「常温」のことを指します。

常温

常温

20〜26度の常温で飲む「冷や」は、日本酒の素の味わいが最もわかる飲み方です。常温だと日本酒の雑味がわかりやすくなるので、特別純米酒や純米吟醸など、ややすっきりとした味わいのお酒が向いているでしょう。常温で飲むことを想定して造られた日本酒やうま味の強い日本酒がおすすめです。

ぬる燗

ぬる燗

お燗した日本酒には、温度帯によって呼び方があります。30度くらいが日向燗(ひなたかん)、35度くらいが人肌燗(ひとはだかん)、40度くらいがぬる燗、45度くらいが上燗(じょうかん)となります。熱燗は50度くらいです。お燗に向いているのは純米酒です。なかでもぬる燗には、純米吟醸がいいでしょう。ぬる燗は日本酒の香りがよく出る温度と考えられています。

熱燗

熱燗

50度くらいまで加熱した日本酒が熱燗(あつかん)。うま味や酸味が多く味のしっかりとした日本酒が熱燗には向いています。純米酒や本醸造酒がいいでしょう。酸度が高い日本酒は燗に適しています。コクがある日本酒も燗には向いています。

同じ日本酒でも温度によって香りや味わいが異なり、さまざまな楽しみ方ができます。広い温度帯で楽しめる日本酒は、世界のアルコール飲料のなかでも珍しい体験となるでしょう。

日本酒に合うおつまみ

日本酒に合うおつまみ

冷酒には冷たい料理、熱燗には温かい料理がおすすめです。甘味のある料理には甘口、さっぱりした料理には淡麗の日本酒、濃い味付けにはコクのあるタイプなど、料理の味わいと合わせると失敗がありません。中華料理には、燗酒や長期熟成酒の相性がいいでしょう。

本マグロ刺身

本マグロ刺身

日本人が大好きな本マグロの刺身は、日本酒のおつまみの定番。脂がのったうま味の濃い魚には燗酒や純米酒など濃醇な日本酒が合います。淡白な白身魚にはすっきりとした日本酒が合うでしょう。

厚揚げ

厚揚げ

豆腐を油で揚げてある厚揚げ。油分がありますので、コクのあるタイプの日本酒や燗酒が合うでしょう。燗酒は口の中の油を洗い流してくれますので、次の料理もおいしくいただけます。純米酒、純米吟醸も合います。

酒盗

酒盗

主にカツオやマグロの内臓を熟成させてつくる塩辛です。お酒が無限にすすむため「酒を盗む」と名づけられたのだとか。どんな日本酒にも合う日本の定番の酒の肴です。

田楽

田楽

豆腐に味噌を塗って食べる田楽。江戸時代のファストフードです。豊島屋本店では、神田の老舗が手がける豆腐に、江戸時代から続く老舗の味噌を塗って提供しています。甘い練り味噌が食欲をそそります。純米酒を合わせて。

豊島屋バター

豊島屋バター

フルーツの老舗・千疋屋総本店のドライフルーツや酒粕を練り込んだデザート感覚のバター。スパークリングに合わせるとぴったりです。

こんな楽しみ方も!

飲み比べセット

飲み比べセット

多くの日本酒居酒屋や立ち飲み屋には、少量ずついろいろな種類の日本酒を飲み比べることができるセットがあります。異なる種類を飲み比べて自分好みの日本酒を探すことができます。どんな日本酒を飲みたいか店員さんに伝えて、おすすめを提案してもらうといいでしょう。

酒器を楽しむ

酒器を楽しむ

酒器によって唇が当たる角度やお酒が舌のどの部分に最初に触れるかで味わいも変わってきます。繊細なお酒にはガラスや磁器などの杯を。どっしりとした純米には陶器などが合うでしょう。江戸切子や漆や陶器、日本にはさまざまな伝統的な種類の器があります。お猪口をたくさんの中から選ばせてくれるお店もあります。

和らぎ水を頼む

日本酒を飲むときに飲む水のことを「和らぎ水」と呼びます。日本酒を飲む合間に水を挟むことで、酔いが回る速度が緩やかになり、お酒で舌が鈍感になることを避けます。翌日までお酒を残さないため、料理をおいしくいただくためにも、日本酒のそばにはいつも和らぎ水を置いておきましょう。

知れば知るほど奥深い日本酒の世界。頭でっかちになる必要はありませんが、日本酒をよく知ることで、より深く楽しむことができるはずですよ!

※掲載情報は、2022年10月時点のものです。価格等は変更になる可能性があります。

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【取材協力】豊島屋本店

約420年前1596年に現在の神田橋付近で、酒舗兼一杯飲み屋の商いを始めたのが起源で、東京最古の酒舗、日本における居酒屋のルーツと言われている。お雛祭りにお供えする「白酒」を造った元祖でもある。創業の地に近い東京・神田錦町にある江戸東京モダンの酒舗兼立ち飲み店「豊島屋酒店」では、江戸東京の地酒と豆腐田楽など江戸のおつまみを味わえる。撮影協力は「豊島屋酒店」。

text: ISOBE Ran

photo: HATABARA Yuji

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