そうめんの食べ方|まずは素でテイスティングがソーメン二郎の流儀

そうめんの食べ方|まずは素でテイスティングがソーメン二郎の流儀

製麺所の家系に生まれ、「そうめん」の魅力を伝える活動をしているソーメン二郎さんをご存じですか? 麺の選び方から、コシを強く茹でるひと工夫、氷水でしめるときに陥りがちなNG例、テイスティングのアイデアまで。そうめん研究家に、自宅で簡単にマネできる食べ方を教えてもらいました!

【取材協力】ソーメン二郎

そうめん研究家による麺選び

ソーメン二郎

ソーメン二郎さんは、多数のレシピ開発やメディア出演で知られるそうめん研究家です。出身は奈良県桜井市。揖保乃糸や小豆島そうめんとともに「日本三大そうめん」に数えられる三輪そうめんの里に生まれ、親戚が奈良県で三輪そうめん亀屋植田製麺所を営むサラブレッド。そうめんのプロフェッショナルに、まずそうめんの選び方から教えてもらいました。
「スーパーやコンビニでよく見かけるのは揖保乃糸でしょうね。揖保乃糸ってどんな企業だと思いますか? パッケージの裏側をご覧いただくと、『兵庫県手延素麺協同組合』と書かれています。ひとつの企業ではなく、約400軒の製麺所からなる組合によるブランドなんです。つまり機械による大量生産ではなく、職人さんによる手仕事の産物。手で麺を細くこより状に延ばし、熟成・乾燥させた手延そうめんは、機械式の麺とは別物のような味わいです」

▼▼熟成30時間の手延そうめん▼▼

手延そうめん手延そうめん

パッケージに「手延そうめん」や、製造元となる組合名か手延そうめん製麺所名が明記されている商品を選ぶこと。それだけでおいしいそうめんに近づけるとソーメン二郎さんは話します。
「手延そうめんは人力で延ばしても切れませんから、コシや歯ごたえ、そして『のど走り』が抜群です。のど走りこそ、僕が思うそうめんの醍醐味。麺が喉をサーッと流れていくような感覚です。今回は揖保乃糸を例に、茹でるところから実演していきましょう」

沸騰したお湯に麺だけでなく梅干しも投入!?

鍋麺を鍋に投入

そうめん一束(50g)に対して10倍以上の水を鍋にたっぷり用意し、沸騰させます。ここでしっかり沸騰させることも後々のポイント。麺を鍋に投入したら、余った麺はタッパなど保存容器で密閉して冷蔵庫にしまうことで、長期保存が可能になります。

梅干しを投入

麺と同じタイミングで、ソーメン二郎さんはなんと梅干しを投入しました。
「梅干しのクエン酸の効果で、一緒に茹でると麺のコシが強くなります。麺の量にかかわらず、梅干しはひと粒で大丈夫ですよ」

対流とともに麺が自然と回転していきます

菜箸で混ぜるのは麺を入れた直後、やさしくほぐすためだけ。その後はしっかり沸騰した鍋の中で、対流とともに麺が自然と回転していきます。

約90秒もすれば茹で終わり

約90秒もすれば茹で終わり。しめる工程へすみやかに移りましょう!

▼▼紀州産の美味しい南高梅▼▼

氷水に浸しっぱなしではコシが台無し!

氷水に浸しっぱなしではコシが台無し氷水に浸しっぱなしではコシが台無し

麺をざるに移したら、掴んでこすり合わせるようにして、30秒ほど水でもみ洗い。油と塩味を洗い流すためにも重要な工程です。

氷水でさらしっぱなしはNG

「もみ洗いをした後に陥りがちなNG例が、いつまでも氷水でさらしっぱなしにしてしまうこと。ここで時間をおきすぎると、麺が水分を吸ってブヨブヨになってしまうので注意してください」

残りの水分をしっかり切ります

麺が冷たくなるまで氷水にさらしたら、残りの水分をしっかり切ります。強い力で麺をざるに押し出すようにしましょう。職人が手作業で延ばした麺なので、これくらいでは切れることがありません。

ぬめりがしっかり落とせた証拠ですぬめりがしっかり落とせた証拠です

水気が切れるころには、麺がキンキンに冷えていました。ざるの下のボウルには、麺に残っていた油が溜まっています。これがあれば、ぬめりがしっかり落とせた証拠です。

水気を切ったら早めにセッティング

素早く皿へ盛り付けましょう

水気をきちんと切ったら、素早く皿へ盛り付けましょう。並行して薬味の準備もお忘れなく。

薬味の準備

薬味の準備にソーメン二郎さんが取り出したのは、シュレッダーバサミ。100円ショップに並んでいるようなハサミで、大葉やミョウガ、ネギを手早く刻んでいきます。

薬味の準備薬味の準備

「簡単さがそうめんの魅力なので、薬味も手軽に準備したいじゃないですか。これなら包丁よりも安全ですし、まな板いらずで洗い物が減るので一石二鳥でしょう」

めんつゆを用意したら、セッティングは完了

冷蔵庫でしっかり冷やしためんつゆを用意したら、セッティングは完了。

まずはテイスティングを

さあ、いただきます!

さあ、いただきます! と思いきや、ソーメン二郎さん流の食べ方がここにもありました。
「こう言ってはなんですが……そうめんってめんつゆで食べると、めんつゆの味しかしませんよね(笑)。でも、僕は実家が製麺所ですから、そうめん自体の味わいや食感も楽しんでほしい。そこで提案しているのが、まずはテイスティングをすることです」

オリーブオイルをひとかけマジックソルトをパラパラ

ソーメン二郎さんはそう言うと、オリーブオイルをひとかけし、マジックソルトをパラパラと振りかけました。

試食試食

「ズルズルッ……うん、おいしい。オリーブオイルと塩でシンプルな味つけにすることで、そうめんに意識を全集中できるんです。のど走りや歯ごたえをダイレクトに楽しめ、なおかつおいしいので、ぜひものは試しにやってみてほしいですね」

テイスティングを楽しんだら、あとは王道のめんつゆで味わう

テイスティングを楽しんだら、あとは王道のめんつゆでズルズルとすすって味わうのみ。
「手延べそうめんを選び、梅干しと一緒に茹で、氷水に浸けすぎないようにするだけで、のど走りが体感できるはずですよ。そうめんって昔はお中元の定番で、『夏の風物詩』なんて思われがちじゃないですか。でも、鍋の締めにも合うし、冷製パスタのようにするレシピもあります。年中いつでも楽しめる万能料理ですから、まずは紹介した基本の食べ方から、そうめんの魅力を再発見してもらいたいですね」

【取材協力】ソーメン二郎

そうめん研究家。奈良県桜井市出身。家系が三輪そうめんの製麺所であり、全国各地のそうめんの紹介やレシピ開発、イベント企画、メディア出演など多数。著書に『ソーメン二郎監修 簡単!極旨!そうめんレシピ』(扶桑社)がある。

text: UEDA Akari

photo: HATABARA Yuji

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