
会席料理の食べ方|料理の順番や作法、マナーを徹底解説!
一流ホテルの和食レストランで会席料理のコース……そんな機会は、1年に一度あるかないか。大切な接待やデートの場面で、スマートに食事ができれば、株が上がること間違いなし! 今回は会席料理の基本的な流れと作法、マナーを徹底解説します。お話を伺ったのは、「グランドプリンスホテル新高輪」の「和食 清水」さんです!
先付け

「会席料理」は、精進料理を起源とする「懐石料理」を夜の座敷でお酒と一緒に提供するようになったのがルーツだと言われています。今回は、「和食 清水」で、伝統的な会席料理コースを提供してもらいました。まず前菜にあたる「先付け(さきづけ)」からスタートします。

左から時計回りに百合根豆腐、青菜浸し、フキの煮付け、鮟肝(アンコウの肝)。「先付け」は、薄味のものから濃い味へ進むのが作法です。ここでは、百合根豆腐から。1品目は「箸染め(はしぞめ)」と呼ばれることもあります。

日本では、小皿を左手で持ち上げて食べてもOKです。
お椀

お次は主菜となる「お椀」です。春は鯛の塩仕立て、秋は土瓶蒸し、ほかの季節は海老しんじょうのお椀などが一般的です。今回ご用意いただいたのは、白味噌仕立ての車海老のお椀です。


まずは漆塗りの器の柄を楽しんだら、左手でお椀をしっかり押さえながら、右手でフタを開けます。写真のように上部の取っ手部分をつまむのが正解です。


奥のほうに向けてそっと開けるのが美しい作法です。フタは両手を使って、折敷(おしき)の外に静かに置きます。器を傷つけないように、ゆっくりした動作で。

まずは出汁の香りを楽しむのが作法です。料理長のこだわりを堪能しましょう。


箸を取り上げるときは、お椀を左手で持ちながら、右手で箸をつまみ、左手の人さし指と薬指に中指を添えるようにして箸を挟みます。


その後右手に持ち替えればOK。横から見るとこういう状態です。

車海老などの椀だねを箸でせき止めながら、吸地(すいじ)をいただきます。

もちろん車海老などの椀だねを食べてもOKです。出汁の風味をゆっくり味わいましょう。


お椀を持ちながら箸を置く際も片手だけで行わず両手を使って。持ち上げたときと同様に左手の人さし指と薬指に中指を添えるように箸を挟んで、右手に持ち替えて……。


右手で箸置きに箸を戻してから、両手を使ってお椀をそっと置きます。


最後はお椀のフタを戻すときの動作。まず両手でフタを持ち上げ、右手で取っ手をつまみます。

そのまま元通りにフタをすればOK。その際、お椀とフタの柄を揃える心遣いがあるとスマートです。
お造り

会席料理のお楽しみのひとつが「お造り」。旬の魚を新鮮なまま刺身で提供してくれます。刺身は淡白な鯛などの白身魚から貝類や脂ののったマグロなどの順に食べるのが作法です。写真はシマアジ(左)とマグロ(右)。シマアジからマグロの順に。

盛り付けが崩れないように手前の切り身から食べましょう。ワサビは醤油に溶かさず、切り身にのせて。脂が多めのネタには、薬味を一緒にのせるとさっぱりとした口あたりになります。


醤油をつけるときは、醤油皿を左手で持ち上げると食べやすくなります。または、懐紙を添えて、醤油が垂れないようにする方法もあります。
焼物

お造りの次は、「焼物」。丸ごと口に運ぶのではなく、ひと口大の大きさに箸で切り分けてから食べましょう。写真は、マナガツオの西京焼きとホタテの柚子焼き。添えてある「はじかみ生姜」は、飾りではなく食べてOK。次の料理の前にお口直しができます。 殻付きの海老などが出てきた場合は、手を使っても構いません。
揚物

「焼物」の次は「揚物」に流れるのが一般的です。運ばれてきたのは「天ぷらの盛り合わせ」。海老、キス、シシトウ、カボチャなどです。盛り付けを崩さないように手前から食べるのがお作法。刺身と同様、淡白なものから味の濃いものへ食べ進むのが基本です。

天ぷらは温かいうちに食べるのが基本です。まずは塩味で楽しむのがおすすめです。塩をつける際は、指先でつまんで適量を振りかけます。


大ぶりのキス天は、箸で切り分けてひと口サイズに。食べかけを取り皿に戻すのは、あまりお行儀がいいとは言えません。

天つゆにつける際は、大根おろしを天ぷらの上にのせて、さっとくぐらせるくらいがちょうどいいでしょう。大根おろしは、天つゆに溶いてもOKです。
煮物

焼物の後は、揚物、蒸し物、煮物などが季節に応じて組み込まれます。煮物は、温物(あつもの)と呼ばれることもあります。

写真は季節の野菜の炊き合わせ。こちらもフタを開けたら、出汁の香りを愉しみましょう。


煮物のお椀は持ち上げてもOKです。フタを取り皿代わりにするのはNGです(右)。
食事

会席料理の〆にごはんとお椀が供されます。ここで出るお椀は「留め椀(とめわん)」とも呼ばれ、味噌汁が一般的。料理の最後という合図になっています。「和食 清水」では、握り寿司が振る舞われます。左からマグロ、シマアジ、イカ、サーモン、ホタテです。

寿司を箸で取る際は、横向きに挟んで、ネタ側に醤油をつけるのがスマートです。シャリ(お米)側に醤油をつけるとバラバラになってしまうので要注意。
甘味

最後は洋食のコース同様、デザートが出ます。フルーツや和菓子が一般的です。会席料理コースの余韻を楽しみながらいただきましょう。
【おまけ1】おしぼりの作法

和食レストランに行くと必ず「おしぼり」が出てきます。これは足で踏む畳を触った手を食事前に清める意味があるそうです。


おしぼりを持ち上げたら、くるくると広げて……。

ゆっくりと両手を拭きます。なんとなく心を鎮める効果もありそう。


拭いたおしぼりは軽く畳んで、元の位置に戻します。

ちなみに、テーブルや折敷にこぼれた汁などをおしぼりで拭くのはNGとのこと。おしぼりはあくまでも手を清めるもの。汚れが気になる場合は、ナプキンなどをもらって拭きましょう。
【おまけ2】日本酒の作法

会席料理に合うのは、やはり日本酒です。季節の日本酒を当日の料理に合わせて、選んでもらうのがいいでしょう。

徳利からお猪口に日本酒をついでもらう際は、必ず両手で受けましょう。日本酒をすすめる際も同様に両手で徳利を持つのが基本です。
会席料理のコース例を紹介しました。提供される料理の順番は、お店次第ですが、基本を押さえておけば安心です。会席料理をスマートに食べられれば、あなたも大人の仲間入りです!
※掲載情報は、2023年2月時点のものです。価格等は変更になる可能性があります。
東京・品川の「グランドプリンスホテル新高輪」内にある和食処。日本料理の伝統を守りながら、素材を活かした現代的な新懐石料理や江戸前寿司、焼き鳥を提供している。日本酒のバリエーションも豊富で、海外からの旅行者にも人気がある。