カウンター寿司の作法|服装は?マナーは?デビュー前にチェック!
カウンタースタイルの高級寿司店に入るのは、誰だって緊張しますよね? 会社の接待などで突然連れて行かれて、冷や汗をかいた経験がある人もいるのでは? カウンターで職人さんと向き合って、まず何から頼めばいい? 食べ方は? そもそも服装は? NGマナーは? 聞きたいけれど、聞けないことばかりです。そこで今回は、東京勝どきに店舗を構える『鮨くらみ』のご主人、小林公彦さんに「カウンター寿司の作法」を聞いてきました!
まずはつまみから
カウンター寿司の席に誘われたら、まずは身だしなみをチェック。正装は大げさですが、短パン&Tシャツのようなラフすぎるスタイルは避けましょう。また、カウンターに座る際は、過度な香水やたばこの臭いがする状態で入るのは、隣にお客さんに迷惑です。
カウンター寿司では、まずビールとおつまみからスタートというのが、通の定番です。寿司店には、握りだけでなく、おつまみも豊富にあります。まずは、刺身の盛り合わせと当日のおすすめ小皿料理あたりを注文してみましょう。
お供はもちろんビールで! 当日のおつまみは、ガリトマトと白イカと九条ネギの酢味噌和え。刺身の盛り合わせは、人数や予算を伝えると職人さんが「おまかせ」でつくってくれます。好物や苦手なものがあれば、予め伝えておきましょう。
ここで「おすすめはどれ?」を聞くのは野暮です。職人さんは、「客にすすめられないものは出さないよ!」と返してくるでしょう。アレルギー等がなければ、「おまかせ」にするのがスマートです。
刺身を食べる際は、ワサビを切り身側にのせて、醤油をつけるのが基本です。醤油にワサビを溶いてしまうとショウガなどに合わせるネタを楽しめなくなるので要注意。
焼き物から揚げ物へ
続いて、おつまみのセカンドステージへ。さっぱり系のおつまみの次は、焼き物→揚げ物と進んでいきましょう。この辺りは、会席料理のコースと同じですね。
寿司といえば、日本酒です! 当日のおつまみに合わせて、おすすめの日本酒を聞くのは、大歓迎だそうです。旬の食材に合わせた一献をおすすめしてもらいましょう。ちなみに、焼き物→揚げ物という流れはルールではないので、自由に頼んでOKです。
細かいところですが、天ぷらや揚げ物についてくる塩は、小皿から指で取って、パラパラとかけるのがスマートです。このほうが、塩味の調整も自在です。
▼▼ふるさと納税で人気のうなぎ!▼▼
|
仕上げに握りを注文
焼き物、揚げ物を楽しみ、日本酒の酔いも回ってきたら、握りの時間です。アラカルトもしくは、セットで握りを頼みましょう。カウンタースタイルの寿司店では、カウンターの一段高くなったところに、別の皿や「下駄」と呼ばれる板を置いて、その上に握りたての寿司を並べてくれます。寿司を出されたら、おしゃべりを中断して、すぐに食べるのが鉄則です。カウンターは、寿司に全集中する場所だと心得ましょう。
寿司は、手でそのまま食べるのがお作法です。親指、人差し指、中指の3本くらいを使って、ひと口で食べましょう。職人さんは、口の中に広がるハーモニーを計算して握ってくれています。ひと口で食べるのは、それに応えるマナーでもあります。ちなみに、半分に噛み切るとせっかくの寿司がボロボロになるので、できれば避けたいところです。
もちろん箸で食べるのもマナー違反ではありません。ネタと並行になるように真横から箸で挟んで、口に運ぶと寿司が崩れません。ちなみに、カウンタースタイルの高級店では、醤油や煮切りなどの味がついた状態で寿司が出てきます。なので、醤油の小皿は出てきません。追加で醤油を頼むのもあまり喜ばれないかも……。
ちなみに、カウンターの上のお皿や下駄を下の段に下ろすのはNGです。一段上がった位置に置いたまま、寿司をいただきましょう。
では、カウンター寿司に行ったら外せない主要な寿司ネタをおさらいしていきましょう。
まずは中トロ。脂がのった、マグロの背もしくは下腹の部分です。
お次は鯛。定番の白身魚です。産地によって、食感や風味が異なるのが面白いところ。コブ〆などでいただきます。
続いて小肌(こはだ)。コノシロという魚の子どもです。この幼魚がシンコ。いずれも酢〆でいただきます。
車エビ。体長15センチほどの縞模様のエビ。ボイルした後、細かい手仕事が施された逸品です。
帆立(ほたて)。主に北海道などで養殖されている二枚貝。肉厚で甘みのある身が特長です。
金目鯛(きんめだい)。金色に光る大きな目が特徴の深海魚。年間を通して、よく脂がのっている。
白イカ。ケンサキイカのこと。中国地方の日本海側でこう呼ばれています。塩と柑橘系を絞って食べると甘みが際立って絶品!
イクラの軍艦巻。言わずとしれた鮭の卵。何もつけず、そのままいただきます!
ウニの軍艦巻。寿司として使われるのは、馬糞ウニ、紫ウニなど。深い甘みの向こうに潮の香りが溶け出します。
煮穴子(にあなご)。鍋で煮てホロホロになった穴子に、醤油を煮詰めた「煮切り」を塗って供されます。崩れないようにひと口で!
芝エビのすり身の卵焼き。正統派江戸前スタイルの卵焼き。こちらも手仕事が光る逸品です!
握りに限らず、料理を提供してもらう際、職人さんが産地や調理法、食べ方について教えてくれます。友達やパートナーとの会話に集中しすぎず、しっかり説明に耳を傾けましょう。職人さんとの会話こそ、カウンター寿司の醍醐味です!
▼▼楽天1位のほたて!▼▼
|
〆はお茶で
おなかいっぱいになったら、最後は味噌汁とお茶で〆。お茶が本当に合うんです。
寿司店のマナーあれこれ
カウンター寿司店のマナーまとめ
- カウンター寿司店は、予約が基本。時間、人数に加え、アレルギーの有無を伝える。
- 費用が心配な場合は、予約時に予算を伝え、「おまかせ」にするのがスマート。
- 握りは手で食べてもOK。もちろん箸で食べてもOK。
- 握りを載せる下駄や皿は、カウンターの手元に下ろさない。
- 細かい手仕事が施された握りに、醤油をベタベタつけない(基本はそのまま)。
- カウンターでは、プライベートのおしゃべりはトーン控えめに。
- カウンターで常連さんに話しかけられたら、会話に参加してもOK。
- 高価な木製カウンターを傷つけないように配慮を(大きな腕時計は外すなど)。
- カウンターで香水、タバコはNG(絶対に!)。
- 「おあいそ(お会計)」「あがり(お茶)」「むらさき(醤油)」など専門用語は使わない。
カウンター寿司の作法、いかがでしたか? ひとり10万円を超えるような超高級店は難しいけれど、東京をはじめ全国には、背伸びすれば手が届く名店もたくさんあります。最低限のマナーを身につけて、ぜひカウンター寿司の奥深い世界を体験してみてください!
※掲載情報は、2022年8月時点のものです。価格等は変更になる可能性があります。
【取材協力】鮨くらみ
東京・勝どきに店を構える江戸前鮨の人気店。毎朝、豊洲市場で仕入れた旬の魚介類を使い、丁寧な手仕事を施して、絶品の寿司を提供している。おつまみの一品料理のバリエーションも豊富で、旬の食材に合う日本酒も多数揃えている。地元の常連客でいつも混み合っているので、訪れる際は、要予約。
TEL:03-3534-9598