
テーブルマナーの基本|ナイフ・フォーク・ナプキンはどう使う?
食事に誘われた会場が一流ホテルのレストランだったら、誰だって緊張しますよね? ドレスコードも気になるけれど、それよりも重要なのはテーブルマナー。大切なパートナーや取引先の相手に気持ちよく食事をしてもらえるように、最低限の常識は知っておきたいところです。
そこで今回は、東京・竹芝のホテル インターコンチネンタル 東京ベイのレストラン「ラ・プロヴァンス」で、テーブルマナーの基本を教えてもらいました。
入店から席に着くまで

テーブルマナーは、主に「フランス式」と「イギリス式」があり、解釈の違いがあります。今回、「ラ・プロヴァンス」で伺ったのは「イギリス式」をベースにしたマナーになります。
まず、ホテルもしくはレストランに入る前にコートは脱いでおきましょう。食事中に席を立つのは非礼にあたるので、トイレは先に済ませておくといいですね。一流ホテルは欧米カルチャーの空間です。入店から常にレディファーストを心がけましょう。
フロア担当のスタッフが椅子を引いてくれるのを待ってから席につきます。焦りは禁物です。
料理が運ばれるまで

席についたら、まず飾り皿を鑑賞します。これはテーブルやお店の雰囲気を彩る重要なアイテムです。本来、ホストが高価なお皿で心からのおもてなしの気持ちを示したとされています。

飾り皿を鑑賞したら、まず飲み物をオーダーしましょう。乾杯はシャンパンやスパークリングワインがおすすめです。もちろんアルコール以外の飲み物でも大丈夫です。


ワイングラスやシャンパングラスは、脚(ステム)の部分を指先で持つのがいいでしょう。これは手の温度をグラスに伝えないためです。
乾杯の際は、グラスをぶつけず、軽く上に掲げるようにするのがスマート。これは高価なグラスを傷つけないための配慮です。
ナプキンの使い方

ナプキンは、料理が運ばれる前に膝元に広げましょう。


写真のように少し片側を長くして二つ折りにして、輪のほうを手前にして膝にかけます。


ちなみに、口を拭う際は、ナプキンの内側を使います。汚れを相手に見せないようにするのがマナーです。
カトラリーの作法

何本も並べられたナイフやフォークに戸惑った経験がある人も多いのでは? カトラリーはコース料理に合わせて用意されています。外側から順番に1本ずつ使うのが作法です。
(左利きの人は、ナイフとフォークを左右持ち替えて使いましょう)

カトラリーサインも要チェック。お皿の上に「ハの字」に置くと食事途中のサイン。フロアスタッフにまだ食べ終わっていないことを伝えます。ナイフの刃は内側に向けて。

ナイフとフォークを揃えて置くと食事終了のサイン。フランス式は3時の位置、イギリス式は4時の位置(写真)に揃えるのが作法とされています。ナイフの刃は内側に、フォークは上向きに置きましょう。
(お料理は取材後、おいしくいただきました!)
コース料理の流れ
アミューズ

まずはアミューズから。アミューズはひと口オードブル(前菜)のこと。食前酒と一緒にいただきます。


まずは目でゆっくり楽しんで。このサイズのアミューズなら、手で食べてもOKです。
スープ&パン

西洋料理では、メインの前にスープとパンが供されます。


スプーンは常に手前から奥にすくうのがイギリス式です。音を立てないように、少しずつ口に含みます。量が少なくなり、スープの器を傾ける際は、左手前を持ち奥側に傾けます(これもイギリス流)。
スプーンは、食事途中だけスープの器に置くのが基本。安定しない場合は、ソーサーに置いてもOKですが、食事終わりのサインとも同義なのでご注意を。


パンは手でひと口大にちぎって食べましょう。オリーブオイルや塩が添えてある場合は、つけて食べるといいでしょう。パンを食べ終わって、お代わりを聞かれた場合、追加を頼んでも失礼にはあたりません。お腹と相談を。
前菜

続いて運ばれてきたのは、冷たい前菜。シマアジのマリネや野菜のテリーヌなどが盛られています。


ひと口大に切ってからいただきます。クスクスなど、細かい素材の料理はフォークの背にのせて。これはイギリス式の作法だそうです。

このあたりで食前酒が終わり、ボトルワインが注がれるケースが多いでしょう。詳しくない場合は、セレクトはホストに任せてOKです。ホストも詳しくない場合は、レストランのソムリエに相談しましょう。

ワイングラスもシャンパングラスと同様、脚(ステム)の部分を持って。コースメニューに合わせて、グラスでさまざまなワインを楽しむのもいいでしょう。
魚料理のメイン

続いて、魚料理のメイン。当日、供されたのは「スズキのソテー」。ベアルネーズと呼ばれるフランスの伝統的なソースがかかっています。ここでもカトラリーは外側から。


身の部分を左側からひと口大に切っていただきます。魚料理の場合、ソーススプーンという平たいスプーンが出てくるケースもあります。その際は、ソーススプーンをナイフ代わりに使います。
肉料理のメイン

続いて、肉料理のメインが登場。この日のメニューは「豚肉のロースト」です。

せっかくなので違う角度からもどうぞ。おいしそうです。


肉料理は、左側からひと口大にカットしていただきます。その際、ナナメにナイフを入れるのがコツです。ナイフは引くときに力を入れるとスムーズに切れます。添えられた野菜もナイフでひと口大に切ってからいただくのがスマートです。

肉料理には赤ワインが合うというのが定説です。レストランのソムリエに、料理に合う赤ワインを聞いて、グラスでオーダーしてみるのもいいでしょう。
デザート

メインが終わったらデザートタイムです。シャーベットにパイナップルのソースが添えられています。


こちらもスプーンとフォークを使って食べましょう。ソースはスプーンですくって、最後までいただいてOKです。食べ終わるとコーヒー・紅茶が運ばれてきます。
食後のコーヒー&紅茶

食後のコーヒーもしくは紅茶は、プチ・フルールと呼ばれる小さな焼き菓子やチョコレートと一緒に運ばれてきます。ここでコース料理が終了となります。

ここでも注意が1点。キューブシュガーは、トングで直接コーヒーや紅茶に入れず、スプーンに乗せてから入れましょう。また、熱い液体を冷ます際、息をフーフーと吹きかけるのは、NGとされています。
一流レストランのマナーまとめ
ここまでのお話に加え、入店前後のマナーも含めた「まとめ」を以下に。
- 事前にドレスコードを確認し、お店に合わせた服装を考える。
- 予約の際は、記念日、接待など利用の用途を告げるとお店側も準備ができる。
- 予約の際は、参加するメンバーのアレルギー、宗教上の制限などを伝える。
- コース料理中の離席はNG。トイレに立つのは最小限に留めるように準備を。
(料理人は、完璧な状態でテーブルに料理を運べるように準備している) - 食事中の携帯電話の使用やカメラのフラッシュ使用はNG。
- スマホで料理の写真を撮る際もほかのお客さまが映り込まないように注意を。
- 会計の際は、テーブルチェックか会計カウンターでの支払か事前に確かめる。
- 接待の際は、食後に席を外し、入口などで会計を済ませるのがスマート。
今回取材をして、テーブルマナーとは、食事を共にする同伴者だけでなく、その場にいる方全員への配慮だということがよくわかりました。一緒にいる相手に気持ちよく食事を楽しんでもらうために、その場にふさわしいマナーや振る舞いを心がけたいですね。
事前に知識を得ることで、大切な食事の約束が何倍も楽しくなるはずですよ!
※掲載情報は、2022年9月時点のものです。価格等は変更になる可能性があります。
ホテル インターコンチネンタル 東京ベイ内にある南フランスの伝統的な料理を現代風にアレンジした“モダン・フレンチ”を楽しめるファインダイニング。フランスの星付きレストランで経験を積んだ木内和利料理長が手がける創作フレンチに魅せられたリピーターも多い。
同レストランでは、「プロから学ぶ テーブルマナープラン」も提供している。