インドカレーの食べ方|ターリー?ミールス?インドの食事マナーとは?

インド料理店に行くと、大きな銀のお皿の上に数種類のカレーが並べられているものを見たことがありますよね。これはインドの定食「ターリー」です。
今回は、東京・麹町の本格インドカレー専門店「アジャンタ」で、インドカレー初体験でも困らないスマートな食べ方を教えてもらいました。

【取材協力】アジャンタ

大皿にスペースをつくる

「ターリー」とは料理をのせる銀の大皿のこと。

今回は「アジャンタ」のノンベジタリアンターリーをいただきました。「ターリー」とは料理をのせる銀の大皿のこと。その上に数種類のカレーやライス、プーリーと呼ばれる揚げパンなどがのっています。北インドでは「ターリー」、南インドでは「ミールス」と呼ばれる料理が一般的な定食だそうです。

食べる環境を整える

まずは、快適にカレーを食べるために大皿の上を整えます。これがターリーの作法です。手始めにお口直しのおかずにあたるチャツネ(後述)の小皿4つを大皿の外へ。

まず、チャツネの小皿4つを大皿から出します。

外に出した小皿はテーブルに直に置いてOKです。これで大皿にライスを広げるスペースができます。詳しくは後ほど。

ターリーを知る

食べる前にインドの定食ターリーについて知っておきましょう。ターリーの大皿には、スープ、カレー、チャツネなどの小皿が数種類のっており、真ん中にライスと米粉・豆粉・小麦粉などを使ったパンが並んでいるのが基本です。一つひとつ説明していきましょう。

①プーリー

プーリーは全粒粉を薄くのばして揚げたパン。

全粒粉を薄くのばして揚げたパン。全粒粉を薄焼きにした「チャパティ」と呼ばれるパンがのっているパターンも多いです。日本人がよく知る「ナン」とはちょっと違います。

②ワダ

ワダは豆と米を使った甘くないドーナツ。

豆と米を使った甘くないドーナツ。揚げているため中はふんわり、外はカリッとしています。

③パパド

パパドはレンズ豆を使ったチップス。

レンズ豆を使ったチップス。ピリッとした味がします。ライスにかけて、アクセントに。

チャツネは野菜や果物などのフレッシュなものに香辛料を加え、煮込んでペースト状にしたもの

続いてはチャツネ。野菜や果物などのフレッシュなものに香辛料を加え、煮込んでペースト状にしたもので、カレーを食べる合間に食べ、ヒリヒリと辛さが広がる口の中を和ませる効果があります。そのまま食べてもいいですし、パンをディップして食べてもよし。カレーには基本入れません!

④トマトのチャツネ

トマトのチャツネ

トマトが入ったチャツネ。酸味があり、まろやかな風味。

⑤ミントとコリアンダーのチャツネ

ミントとコリアンダーのチャツネ

すっきりとしたフレッシュな口当たりなので、口をリセットしたいときにおすすめ。

⑥タマリンドのチャツネ

タマリンドのチャツネ

東南アジアやインドなどで栽培されているタマリンドという果物と、ジャガリー(赤糖)を使ったソース。ジャムのようにトロッとしていて甘酸っぱい。

⑦セモリナのキール

セモリナのキール

パスタにも使うセモリナ粉(小麦粉)が入っているココナッツ味のキール(ミルク粥)。デザートとして最後まで残しておいてもいいし、口の中の辛さを抑えるために食べるのもあり。

ラストは主役のスープとカレーです。アジャンタのターリーには、スープが1種、カレーが4種のっています。

⑧ラッサム

ラッサム

ニンニクとトマトを使った、辛くて少し酸味のあるスープ。

⑨サンバー

サンバー

レンズ豆と野菜を煮込んだピリ辛のカレー。「サンバル」と呼ばれる場合も。

⑩魚のカレー

魚のカレー

ごろっとした白身魚が入っています。

⑪チキンカレー

チキンカレー

ココナッツの香りが口の中で広がる、まろやかで甘みのあるカレーです。

⑫ポリヤル

ポリヤル

ミックスベジを炒め煮したものがポリヤル(Poriyal)。これもカレーの1種なのだとか。

聞き慣れない名前の食べ物ばかりで覚えるのもひと苦労ですね。

カレーをプーリーで包む

まずはポリヤル(Poriyal)から。これも実はカレーです。ひと口サイズにちぎったプーリーに包んでいただきます。

ターリーの概要を理解したら、さっそく食べていきましょう。まずは揚げパンのプーリーから。両手を使って、ひと口サイズにちぎります。

インドでは食事のときは基本右手だけを使います。

最初は汁気の少ないポリヤルあたりを包むのがいいでしょう。右手の指先を使ってつまむ感じで。インドでは食事のときは基本右手だけを使います。これはヒンドゥー教で、左手は不浄の手とされているためです。

うまく包めたらこの通り。そのままパクリといただきましょう。

うまく包めたらこの通り。そのままパクリといただきましょう。カレーに入った大ぶりの魚やチキンもこのように食べるのがおすすめ。手で食べるとなぜかおいしさが倍増しますよね!

ライスには汁ものをかける

ライスにかけて食べるのが基本です。盛られたライスを崩して広げましょう。

汁気のあるカレーは、ライスにかけて食べるのが基本です。まずは、盛られたライスを崩して広げましょう。これが、カレー一つひとつの味を楽しむための秘訣です。

カレーをスプーンで少しだけすくって、広げたライスに端からかけていただきます。

カレーをスプーンで少しだけすくって、広げたライスに端からかけていただきます。

最初にライスを広げておくことで、カレーそれぞれの味を堪能できます。

最初にライスを広げておくことで、カレーそれぞれの味を堪能できます。

ライスの上のスペースを計画しっかりと全種のカレーを楽しみましょう。

ライスのペースを計画し、しっかりと全種のカレーを楽しみましょう。ラストは数種類のカレーを混ぜて食べてもOK! これもターリーの醍醐味です。

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チャツネはそのまま食べる

チャツネはそのまま食べる

大皿から外したチャツネは、基本的にそのまま食べます。カレーを食べる合間に口に入れることで、口の中に広がるヒリヒリとした辛さを和らげてくれます。

トマト系のチャツネは、ライスにかけて食べても美味です。

トマト系のチャツネは、ライスにかけて食べても美味です。

タマリンドのソースは、ワダと相性バッチリ!デザート感覚で食べてもいいかもしれませんね。

甘酸っぱいジャムのようなタマリンドのソースは、ワダと相性バッチリ! デザート感覚で食べてもいいかもしれませんね。

パパドをアクセントに

パパドをアクセントに

パパドは細かく砕いてライスにかけて食べるとアクセントに。パリッとした食感とパパドの風味を楽しむことができます。

〆はミルク粥で!

〆はミルク粥で!

デザートはキール(ミルク粥)で決まり! デザートは絶対に最後に食べたいという方もいるとは思いますが、途中にキールを挟むのも意外とありです。キールの甘さがカレーの辛さを和らげてくれます。

ぜひ本場インドのカレーを食べにアジャンタを訪れてみてください。

日本だと1回の食事で数種のカレーを食べるということはあまりないので、今回ターリーをいただき、4種のカレーを食べ比べ、使われているスパイスが違うとこんなにも味わいが変わるのかとカレーの奥深さを感じることができました。

みなさんもぜひ本場インドのカレーを食べにアジャンタを訪れてみてください。一度食べたらハマってしまうこと間違いなしです!

※掲載情報は、2022年9月時点のものです。価格等は変更になる可能性があります。

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【取材協力】アジャンタ

1957年にジャヤ・ムールティによって創業された、本格的南インド料理を振る舞う店。「故郷南インドの純粋な料理を日本のお客さまに味わってほしい」という思いから、日本人向けにアレンジすることなく、開店以来長い間多くの人に愛されている。

text: MUTO Miki

photo: HATABARA Yuji

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